Innocn 32M2V設置レビュー

1.導入

右が32M2V。左はDellのG3223Qです。

今年中に買えればいいかなと思っていた32M2Vが早くも3月の頭に手に入ったので、3年前ぐらいから構想していたデスク周りがほぼ完成した。

27インチ×3、32インチ×2、いずれも4Kディスプレイ。

モニターの構成はDell U2720Q×2、S2721QS、G3223Qと、Innocn 32M2Vの計5枚。

まず前提として、私個人の趣味としては特にFPSゲームをやる人ではないので、ディスプレイには240Hzなどの高リフレッシュレート+低遅延を求めておらず、むしろ文字を打つ機会が非常に多いので、4Kである程度大きく文字を表示できるという点が最優先だった。

なので、本来であれば32インチのモニターもG3223Qなどではなく、U3223QEなどの事務用のほうがよかったのだけれど、6万円台で手に入る機会があったのでその際に購入した。今回購入した32M2Vも、普段はあまり目にしない8万円台だった機会があったのでその機会を逃さずに購入に至った。

32M2Vの色校正なども含めたレビューはすでに半年以上前に有名どころの方が出していてそれ以上何か付け加える必要もないので、私からは設置時に気になった点やメニューなどの簡単な説明に留めておくことにする。

2.設置について

設置に関してですが、私の場合はモニターアームに吊るすことが前提なので、モニターに付属している台座の使い勝手については特に書きません。

さすがの大きさ。1人で持つことのできる限界だろう。

最近はamazonにもシルバーの筐体以外に黒の筐体が登場してバリエーションが増えているのだけど、今回安売りしていた方はシルバーの筐体だった。

32M2Vは映像入力がHDMI2.1×2とDisplayport1.4×1(USB-Cを含めると×2)となっているので、付属品はそれに合わせてHDMI2.1ケーブルとDisplayport1.4ケーブルが一本ずつ、それにUSBハブとして3.0×2の出力が用意されているので、その入力用ケーブルとしてUSB-BケーブルとUSB-Cケーブルが一本ずつ、付属している。

設置するにあたって少し気になった点を2点ほど書いておく。

 

① ACアダプタ
電源アダプタは、DellのようにACアダプタがモニター内蔵ではなく、少々大きめのものが用意されている。

75mm×185mm×33mmという大きさ

表面にうっすらと見えるように、このACアダプタの最大出力は240Wとのこと。HDR1000でminiLEDなので、輝度が高くなればその分だけ消費電力が必要となってくるのだろう。

今までDellのモニターでは考える必要がなかったのだけど、この大きさのACアダプタをモニターの裏のどこかに設置しなければならない、ということを念頭に置いて購入後の設置場所を考えるべきだと思う。

 

② VESAマウント

ネジがギリギリ入るか入らないか、といった感じ

これは他のレビュアーの人も指摘していたが、Innocnが用意している台座のアダプターの設計上、VESAマウントを設置するためのくぼみの下側にちょっとした出っ張りがある。

特にエルゴトロンのモニターアームのVESAマウントのように正方形のマウンターの場合、上の写真のようにマウンターを出っ張りが少し上に持ち上げてしまい、結果、ねじ穴が下方向にぎりぎりとなってしまう。

私の購入した筐体の場合には本当にぎりぎりだったが、このままでもネジを設置することができた。しかし、本当に10分の1ミリ単位でもずれればネジに無理がかかってしまうだろう感じなので、個体によってはねじが入らない場合もあるかもしれない。

それを避けるために、エルゴトロンから出ているスペーサーや、それが高ければ長尾製作所から出ているねじ式のマウンターがあるので、それを用意するとうまく設置できるようになる。

私のものはねじを設置することはできたのだけど、やはり少し不安だったので、たまたま手元にあったDellのマウンターを使用している。

3. OSDなどのメニューについて

メニュー表示と項目、反応などについては、他のレビュアーが指摘していたような不便さは、少なくとも私は特に感じなかった。

一つだけ、このモニターがminiLEDの真価を発揮するために必要な輝度調整のための領域分割機能をONOFFする項目である「ローカルディミング」がなぜか「ピクチャ設定」ではなく「ゲーム設定」の中にあったので探すのに若干苦労した点には不満があるが、それ以外の項目の操作については、正直今まで使っていたDellのモニターと大差ないので特に気にならなかった。

4. 映像の見た目について

こちらについては初期のレビューで、映像美を強調するためにビビッドな方向に偏っている旨が報告されていたが、その後改善されたのか、それほどきつい感じではなかった。

キャリブレーターを出してくるのが面倒なのと、改めて私が不十分な環境で測定してもあまり意味がないだろうと思ったので特に色の正確さなどは計測していない。

ただ、現状では基本的にRGBの成分などを弄らずともおかしな色があるなどは一切見られない。

5. HDRについて

これは32M2VというよりnVIDIAのドライバーの昔からの問題なのだけど、モニターを3枚以上つないだ状態でHDRを有効にするとなぜかGPUのメモリクロックだけ常時高くなってしまうという現象があり、GPU温度が5℃以上上がってしまうという問題がある。

それ以外にも、常時144Hzにしていても同じ現象が起きる。これが4K環境限定なのかどうかはわからないが、そんなわけで私の環境下ではG3223Qも32M2Vも両方120Hzでとどめている。

ただ、私の使い方的に少しでもリフレッシュレートを挙げてFPSゲームなどで有利をとろうなどとは考えていないので、現状では特に問題ではない。しかし何か制限がかかる状態はあまり良くないと感じるので、この問題は早く修正されてほしい。

HDR自体の綺麗さはすでに報告されている通り。感覚としてはコントラストができて奥行きが深くなったような感じ。ただ、対応コンテンツが少ないのが本当に残念。ゲームでもWindows11の機能である自動HDRを試すと多少はよくなるので、HDRはなるべくONにしておきたい。

 

32M2Vについては以上です。

このディスプレイが来たのでデスク周りがほぼ完成しました。

その話についてはまたいずれ。

真っ白PCに対抗して真っ黒PCを組んでみた(GeometoricFuture Model4 CALIBURNのレビューも少々)

ぱっと見で分かりにくいが、下部吸気120mm×3、上部排気140mm×2

今回の記事は表題の通り、メインPCで組んだ真っ白なパーツとは真逆の真っ黒なPCを組んだというお話。

 

今のメインPCの見た目は以下のような感じです。

ミドルタワーなのに4090がやたらでかくて狭いように見える

今現在と若干変わっているが、基本的にはこちらの記事に書いたパーツを使用している感じで、もちろん何の不満もない。

ただ、現在でもPCパーツ全体で見れば黒色がいまだに多い。

基本的に私は特に色とかでパーツの好みを決めているわけではなく、総合的に“良い”と思えたパーツを買って実装する人間なのだけど、ここ最近は少し白色PCを用意することにこだわりすぎて、若干パーツの見極め方に偏りが出ている感じがしたので、だったらと黒色だけで組んで両方に備えることができるようにしよう、という魂胆でパーツを揃えた。

 

とは言っても、今回のこの黒色PCを組むために改めて買ったパーツは120mmのケースファンとPCクーラー、ケース程度で、それ以外はいままで使っていたパーツをそのまま流用している。

構成は以下。

 

【構成】(は今回の構成に合わせて購入したもの)

CPU……AMD Ryzen9 5900X

GPU……玄人志向 GALAKURO GAMING GG-RTX3060Ti-E8GB/DF

M/B……MSI MEG X570 UNIFY

RAM……CenturyMicro CB16G-D4U3200H(16GB×2)+ CE16GX2-D4U3600/4000(16GB×2)

ROM……Seagate FireCuda 530 (1TB)|Samsung 870 EVO 2TB|Western Digital WD40EZRZ-RT2 [4TB SATA600 5400rpm]

PSU……SuperFlower LEADEX V Gold 850W

COOLER……NOCTUA NH-U12A chromax.black

CASE…… GeometricFuture MODEL4 CALIBURN

FAN……ThermalRight TL-B12B×3|TL-B14B Extrem×2|ADATA XPG VENTO PRO ×1

 

まあ色々と理由を述べましたが、一番の理由はGeometoric Futureのケースが気に入ったからです(笑)。

年始に秋葉原でパーツを見て回っていた時に、今まで使っていたDefine7 Compactよりも高さ方向で一回り小さいというコンパクトさと、それでもE-ATXを収納できるという取り回しの良さに惹かれて購入を決断したという次第。

写真だとわかりにくいが、実測だとCALIBURNの方が5cm以上低い

高さ方向が抑えられている一番の理由は、電源の収納位置が、右のDefine7のようにケース下部のシュラウド内ではなく、ケース右上の部分、昔は5インチベイがあった場所になっているから。

それに加えて、フロントからの吸気がなく、基本設計では吸気をすべてケース下部から吸い上げる形になっているということも大きい。

ケース真上から。右のフロント側に電源の収納場所がある。

分かりにくいが、奥に電源のファンガードが見える。冷却はケース内のエアフローを利用。

このモデルでは、実はフロントもメッシュになっているタイプもあるのだが、ファンを設置できないうえに埃対策用のメッシュなども用意されていなかったので、ガラス+ミラータイプのものを選択した。

正面から。写真だとわかりにくいが上半分はミラー。

以下、特に思ったことを2点ほど。

 

【エアフローについて】

こうしたコンパクトケースの場合、一番の懸念点はやはり冷却性能だと思うが、特にこのケースの場合にはGPUも含めた冷却性を考えることが必要だと思われるので、例によってFFXVのベンチを試しに回してみた。

もちろん、使用するケースファンやクーラーの性能、ファンの回転数の設定にもよるので一概には言えないが、少なくとも私の構成ではCPU温度は最高で70℃でたいていの場合60℃中盤ぐらいの温度で推移していた。GPUの熱を吸い上げてしまうのは空冷の宿命だが、60℃台で安定して推移していたので、ケース内に熱がこもってしまうということはないと判断できる。

最近のケースを見ていて思うのは、フロントからの吸気がなくボトムから吸気するタイプのものが増えていて、GPUのみならずマザーボードの各部位の冷却という観点からも割と合理的なのだろうということ。

流行のピラーレス+デュアルチャンバータイプだと、ボトムからだけではなくサイドからも吸気ができ、結果的にケース内が正圧になるはずなので、フロント吸気を切るというのは正解なのかもしれない。

 

【グラボの大きさとの兼ね合いについて】

ボトム吸気の場合には通常の電源配置ができないので、ケース側で電源の置き場所に工夫が必要となるわけだが、今回のCALIBURNの場合にはフロント部分に電源を吊る形で対処してたのがスマートだなと思った。

ただ、今回私の構成では3060tiの2連ファン仕様だったために電源の吸気口から熱源が離れた形になったが、昨今のグラボの巨大化もふくめて考えると、これが3連ファンで横に長い70ti以上のハイエンド帯のグラボだった場合には事情が異なってくるだろう。CPUやGPUとは違って電源内部の温度は気軽に測定できないので、その辺の熱処理に少し不安が残る。

また、このケースの場合、電源のケーブルがフロントから出てくる形になるため、3連ファンの大きなグラボの場合、フロント部分でのケーブルの取り回しを工夫する必要が出てくる。二つ上の写真を見てもらえるとわかるように、結束バンドなどで固定する必要が出てくるだろう。

 

【総評】

もともと大きめのATXをコンパクトなサイズに収めようとするのだから、多少の工夫は当然ながら必要となってくる。

その点を差し引いても、今回のケース(GeometricFuture Model4 Caliburn)は細かいところでいろいろと組みやすいと思った点が多かったので私としては見た目も含めて高評価です。

裏配線スペースもしっかりとしていて、特殊な電源の位置を感じさせない組みやすさがありました。ちょっとネジが多いのと、どこで2.5インチや3.5インチのSSD, HDDが止められるのか書かれている仕様書がないので、初心者向きではなく中級者以上を対象としたものかな、という印象です。

一つだけ不満点があるとすれば、PCIeスロットの下半分がねじ止め形式ではなく切り離し形式である点。つまり一度スロットを空けたらその部分が空きっぱなしになってしまう。昨今のケースでは割と珍しいし、上半分だけをねじ止めにしている分、余計にこの形式にした理由が意味不明だった。

それ以外の点についてはおおむね満足しているので、いい買い物でした。

2023年のベストバイ:生活を変えたおすすめの品物

(タイトルはAI生成によるものです)

1年を振り返って何を買ってどうなったのかを備忘録的にまとめておこうと思ったら、ちょうど「買ってよかった2023」と題されたテーマでキャンペーンが張られていたので、それに便乗していくつかの品物を纏めておくことにしました。

 

とは言ったものの、「買ってよかったもの」は、言ってみればほぼすべてのものだと言っても過言ではないわけで、どういったものを取り上げようかと少し思案した結果、このキャンペーンの副題になっている「あなたの1年を変えた商品」に絞っていくつか見繕うことにします。

「1年を変えた商品」の解釈の余地もそこそこあると思いますが、基本的には“去年とは何らかの形で生活や習慣を変えたもの”という風に捉え、去年から何らかの形で私の日常を変えた商品を紹介することにします。

その際、何がどう変わったのか、についても併記します。

(リンクはアフィリエイトではありません)

 

①:GeForce RTX4090 AERO OC 24G

<何が変わった?>

  • 4K144Hzのモニターの能力を最大限活かせるようになった
  • 白色に統一したPCを組むことの魅力を知った

その白がいい……

作業に疲れてふと見ると意外と癒される

<詳細>

自作PCなどに触れている人であれば「RTX4090」と聞けばどういうものかすぐにわかるはずですが、わからない人向けに解説すれば、RTX4090はPCのパーツの中でも特にグラフィックの出力を主に司るパーツで、その中でも最上位のグレードにあたるものです。

このグラフィック出力を担うパーツのことをグラフィックボード、あるいはGPUと呼んだりしますが、RTXというのは、現在一般カスタマー向けにGPUを販売している2社のうちの1社、(謎の半導体企業)NVidiaから販売されているシリーズです。

そのRTXシリーズの中でも現状で最新世代が4000番台であり、その最上位機種として90番台がラインナップされている、と理解していただければ、「RTX4090」という暗号のような文字列の意味が分かると思います。

もう1社はAMDという企業で、そちらはRXというシリーズでも7000番台が最新世代です。「RTX」と「RX」という、頭文字は非常にわかりにくい両者ですが、今のところは番号を見ればどちらの企業のものか見分けがつきます。

……という型番の話は余談です。

そして、この「RTX4090」は上記のようにNVidia社が出しているグラフィックボードの最上位を示すものですが、このボードを利用してPCパーツメーカー各社がカスタマイズボードを出しています。

NVidiaが出しているモデルももちろんあるのですが(リファレンスカードと言います)、生産数はごく少数で、現在国内で正規に流通しているものはすべてPCパーツメーカーがカスタマイズしているモデルのみです。

上記の白いRTX4090は、そのうちの一社であるGIGABYTEという会社が出しているモデルになります。

「モニターの性能を最大限引き出す」という目的であれば、これ以外の会社のモデル(RTXシリーズは他にASUSMSI玄人志向ZOTAC、PNY、ELSA等々)からも数多くのモデルが出されているので、その中から最安値を狙うのでもよかったのですが、白色モデルとなると数が限られています。

その中でも特にこのGIGABYTEから出ているAEROというモデルは、発表されたときにデザインを見て、私の中ではこれ一択というぐらいに気に入ったシンプルな白色の筐体でした。

上に掲載した写真は、真ん中にある巨大なAEROを中心としてパーツを用意した白色構成のPCです。

元々は特に色などにこだわってはいなかったのですが、一度白色で統一して組んでみたら自分の予想以上に気に入ってしまいました。

実はもう一台、白色PCを組んでしまったのですが、それはまた別の話……。

 

②:Minisforum UM790 PRO

<何が変わった?>

  • ノートPC代わりにミニPCを持ち歩けるようになった

左下の正方形の小さな四角い筐体がUM790 PROです

<詳細>

このブログでも何回か取り上げたミニPCです。

その使い勝手などに関しては、詳しくは

veveve.hatenablog.com

に掲載していますのでリンク先をご覧ください。

補足をすれば、もちろんUM790だけでノートPCに代わる環境を全て整えられるわけではないので、その他、モバイルディスプレイ、キーボード、マウス、モバイルバッテリー、USB-Cケーブル等々を揃えなければならないのですが、逆に言えばこれらさえ揃えればノートパソコンと同じ環境で、かつ色々と自分でカスタマイズできる環境を整えられるという点が魅力になります。

私はそれ以外にも、特にPCの耐久性という面でノートにはかねがね不満を持っていたので、そうした面からもこの環境を整えられたことに満足しています。

最大の欠点としては、ノートPCと違って作業環境を整えるのに少しだけ時間がかかるという点。重さは、総重量が実はそれほど変わらないので、少なくとも私にとっては特に問題になりませんでした。ただ、全部バラバラなので忘れ物が多い人にとっては苦労が多いかもしれません(かく言う私も……)。

もちろん「変わった」のは、ノートP`Cという作業環境がこちらに置き換わったという点ですね。

 

③:WAIZOWL OGM PRO

<何が変わった?>

  • 自分に合ったデバイスを選ぶということの大事さを認識した

2バージョン出ていたのでそれぞれ1つずつ買いました

<詳細>

これは本当にたまたま店頭でモノを触ったら自分の掌にジャストフィットしたので、その場で購入を決定したものです。どうもゲーミングマウスに分類されるものであるようです。

このマウスの購入までは、高くても2000円台の事務用のもので満足していました。しかし、これを導入して以降はもっと手に合うものが他にもあるのではないかといろいろと探し、他にも2つほど似たような系列のゲーミングマウスを購入して別環境で使用しています。

しかし結局はこのマウスの使い勝手の良さが際立ちますね。予備としてもう一つ購入して、現状2個を手元で使い分けて消耗を抑えている感じです。

マウスについては特にチャタリングなどが出てしまうと、(中のスイッチを交換することもできますが)基本的には買い替えになりますが、その際に同じマウスが終売となっている可能性もわりとあるものなので、もし気に入った製品があった場合には少なくとも2つ以上は手元に用意しておくと安心できると思います。

それはそうと、これを購入したことによって、マウスのみならずキーボードにもまた目を向け始めています。

元々はデバイスについてそれほどこだわりのある人ではありませんでしたが、たった一つのデバイスとの出会いは色々なモノの見方を変えてしまうということを実感した一品でした。

 

④:SOUNDPEATS Air4 Lite

<何が変わった?>

  • マイク内蔵でかつインナーイヤー型のイヤホンなので、昆虫観察動画の撮影にピッタリ

<詳細>

こちらは写真なしですがリンク先を見てもらえればどういうものかがすぐわかると思います。こちらは知っている人は知っているものなので、多くの人にとっては当たり前のように思えるかもしれませんが、私にとってはこういうものが欲しかった枠なのであえて紹介します。

ブラックフライデーで購入したものですが、個人的に非常にちょうどよいものでした。

まず前提として、私はイヤホンのカナル型は大嫌いで、それを避けるために自宅で使用している優先のイヤホンはすべてインナーイヤー型なのですが、イヤホン方面に疎かったため、つい先日までインナーイヤー型でこんなに便利なワイヤレスイヤホンの存在を知りませんでした。

使用してみると、意外にマイク機能も優れていたため、リモート会議などでもいままではヘッドホンを使っていたところをこのイヤホンで済ませられるようになりました。

まあそれは二の次の利便性で、もっとも私にとって役立ちそうなのが昆虫観察時の動画撮影です。

もともと趣味で昆虫観察を続けているのですが、その際にスマホで動画などを撮影しようとするとマイクとイヤホンの両方が必要である局面がけっこうあり、しかも夜中の昆虫観察では、虫の羽音を聞くなど、周辺環境の音を聞くことのできる状態でないといけないこともあるので、インナーイヤー型のこの製品を手に入れられたことで、来年の昆虫観察ががぜん楽しみになってきました。

(レビューを見る限り、少し耳の小さい人にとっては大きすぎるきらいがあるようなので、その辺に注意が必要そうです)

万人が知ってて自分が知らないものを、万人向けじゃない用途で重宝するという少し変わった紹介になりました。

 

総評

● 今年はどちらかというとディスプレイや机周りなどの大きなものというよりも、マウスやキーボードなどのよりミニマムな周辺機器とPCパーツに注力した1年だったような気がします。

しかしその結果、自室にPCの筐体が5つあるような状態になってしまったので、来年は少し断捨離することを考えています。でも来年はRyzenの新型CPUが発売されるので、少なくともCPUは買うことになりますね……。

 

● マウスで特に実感しましたが、プロダクトが良いものに触れてしまうと途端に色々なもののインターフェイスが気になってきてしまうというという点が、今年得た一番の教訓かもしれません。

マウス以外にも、実はマイクを吊るすためのマイクアームでも少し値段の張るものを購入したのですが、これがとても造りのよいものでした。自分が思うところにぴったりと止まって固定できるので、ちょっとした調整などが非常にやりやすく、しょっちゅうマイクを動かす必要のある趣味をやっている身からすれば一刻も早く手に入れておくべきものであったと後悔するレベルで良いものでした(Elgato Wave Mic Armというものです)。

こちらも上で紹介しようかとも思いましたが、マウスと同じ内容になってしまうため、衝撃度の高かったマウスだけを掲載するに至りました。

こうした“作りの良いもの”は必ずしも値段の高いものでなくともあるのですが、相対的に見ればやはり値段の高いもののほうが良い傾向にあることは確かです。

あとは結局、自分にとって使いやすい、という点が一番大事なので、可能であれば買う前に一度、実機に触って確かめるという作業がとても重要です。

ただ、もう一つ重要なのは、実機を触って確かめても、実際に使用する環境でない場合にはその確認が却って仇になってしまうことがあるということです。

モニターの大きさなどは売り場に行くと32インチでも小さく見えてしまう場合がありますが、自分の実際の作業机の大きさなどを正確に知っていれば、ある程度は売り場補正を回避することができます。

ですので、メジャーなどで常に購入するものの大きさを測る癖をつけておくと良いと思います。

 

● あと一つ、来年の抱負があるとすれば、もう少しソフト面の使い方の勉強をして、PCのスペックを上げるだけじゃなくてそれをうまく使う方法を学びたいなと思います。ただ、個人的にはモノを手で弄るのがやっぱり一番好きでもあるので、うまくバランスをとることができればなぁと。

また、それと同じような話ではありますが、今年はインプットの時間が極端に少なかったので(アウトプットもそれなりに少なかった)、その両面のバランスを取っていきたいと思っています。

基本的に自分はインプットをする時期とアウトプットをする時期をある程度明確に分けて物事を進める感じで生きてきているので、その辺の境界線をもう少しあやふやにできれば、と。

 

何かごちゃごちゃと述べてしまいましたが、来年もいいものに巡り合い良い1年とできるように願う次第です。

皆さまにとっても来年が良い年となることを祈念しております。

 

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買ってよかった2023

絵本『のでのでので』における「ので」遊びについて

今年はあまり文章を書くことができなかったのですが、それでも少しずつ何かを書いてはいたので、備忘録として完成途上にある文章を一つ掲載することにしました。

内容は標記の通り。

“完成途上”なのは、特に「*」以降の内容が非常にだらしないからで、ここを詰めていくためには、いまの分量の2倍ぐらい字数を費やす必要があるので、この部分の拡充を来年の抱負とします。

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 五味太郎『のでのでので』(『月刊こどものとも年中向き』1990年4月号/1993年〈こどものとも〉傑作集として再版、福音館書店。2004年復刻版、絵本館)[1]は左見開きの絵本である。この絵本はほぼ全見開きで「ので」で終わる中途半端な文が右見開き上に提示され、続きのページを捲ることを読者に促す構成となっている。通常の物語絵本のように、ページをめくる毎に話の続きが展開していくというものではなく、言うなれば捲ること自体に何らかの面白さを読者にもたらしうる絵本である。こうした構成の絵本は基本的に、ストーリーのない絵本としてナンセンス絵本という分類に入れられることが多い。例えば長新太『ちへいせんのみえるところ』(エイプリルミュージック、1978年。1998年にビリケン出版より復刊)は『のでのでので』と同じく、ページを捲った先にあるものが何かだけを読者に期待させる構成となっている絵本だが[2]、こちらはナンセンス絵本の傑作としてしばしば指摘されることがある[3]。そのことに照らせば、同様の構成を持つ『のでのでので』もまたナンセンス絵本と言って差し支えないだろう。

 もっとも、『のでのでので』の一読者である私としては『のでのでので』がナンセンス絵本であるかどうか自体は至ってどうでもよいことであり、その分類がどうであれ『のでのでので』という絵本の読み方自体が変わるということはない。ただ、その分類の真偽はともかくとして、『のでのでので』の読まれ方に照らして、“『のでのでので』はナンセンス絵本である”というこの一文における“ナンセンス”なる言葉を考える際、恐らく上記の分類的な意味、つまり、通常の物語絵本ではない、という意味以上のことを示すことが予感された。その予感とは、『のでのでので』において観察される「ので」の様相は、その接続助詞としての機能の実態の一端を明らかなものとするのではないか、というようなものだ。もう少し具体的に言うと、「ので」の前後で文法的に接続されている二つの事象は、その関係が承認される際、一見してその関係が乖離しているように思われるほどより強固にその“因果関係”が認められているのではないか、ということである。そして『のでのでので』がそのような「ので」の在り方自体を面白さとして提示する絵本であるのならば、「ので」を介して接続される二つの事象の接続が荒唐無稽であることを見せる、という意味で“ナンセンス絵本”である以上に、「ので」という言葉が一般的にそもそもナンセンスな言葉の接続を呼び起こすものであることを示す、という意味で“ナンセンス絵本”たりうるものなのかもしれない──そのような予感の下に、このテキストは用意されている。

 ただ、今後このテキストでおこなわれることは、そのことを明らかにすることで「ので」なる言語的な機能の一端を白日の下に晒すことではない。そうではなく、そのような予感の元に『のでのでので』を読むことによって、『のでのでので』で読者に経験されている“捲る”という動作そのものの読書体験におけるノイズ性についてより明確に知ることができるという期待を筆者が持っていることによる。通常の書籍においてページを捲る際、何かしらの煩わしさを感じたり感じなかったりしつつも“捲る”という行為自体を意識することはそれほどない。しかし、この『のでのでので』においては、タイトルですでに「ので」が何かしらの形で絵本の装置として使用されるだろう予感を読者にもたらしうるものとなっており、かつ実際に見開きの右上に「ので」が配置され、ページ捲りと「ので」の接続先の文内容の確認が同一の“捲る”という行為において達成される構成となっているため、読書行為に際する読者の意識においては「ので」の際立ちと同程度に“捲る”という行為が際立つものとなっていると言える。前後したが、この、読書に際する“捲り”行為の意識内での際立ちの在り様のことを上記で言う“ノイズ性”と呼びたい。そしてこの「ので」の“際立ち”=“ノイズ”の生起と同時に“捲る”という行為そのものの“際立ち”が起こることによって、「ので」が介在する出来事間の“因果関係”の取り結びそのものが“遊び”の対象──すなわち“ので遊び”となりうることを今回は指摘しようと思っている。

 

 

 絵本『のでのでので』の基本的な構成は下に引用する二枚の画像のとおりである。

pp.2-3

(図1)『のでのでので』pp.2-3 

pp.4-5

(図2)同pp.4-5

 既述の通り、「~ので」は見開き右上に記され、その結果を示す「~した。」「~なった。」などの述語は次の見開きの左上に記されている。少なくない見開きで、見開き中央部に「~ので、~した。」ないし「~なった。」という一文が、本の喉を挟んで左右に記されることもあるが(図4)、見開きの左上と右上の文はほぼ最終ページまで上記の通りとなっている。

pp.6-7

(図3)同pp.6-7 

pp.8-9

図4)同pp.8-9

 図1、2に戻ると、ページを跨がって完結する「~ので、~した。」あるいは「~ので、~なった。」の一文には、例外なく主語が書かれていない。例えば上記のp.3とp.4に跨る一文では、「とびあがったので」「はたを サッと あげた。」となっているが、この文だけでは誰が飛び上がったのか、誰が旗を揚げたのか見当がつかず、ともすれば「とびあがった」のも「はたを サッと あげた」のも同じ人物であるように読めてしまう。

 この主語となりうる人物は、見開きの絵に描かれている。例えばpp.2-3の見開き絵には飛び上がっているキャップを被った少年が描かれており、捲った先のpp.4-5の見開き絵には、直前の見開きで飛び上がったのと同じキャップの少年、および白いワンピースを着た少女が旗を揚げている様子が描かれているので、p.3で「とびあがった」のがキャップの少年、p.4で「はたを」「あげた」のが白いワンピースの少女であるとわかる。『のでのでので』はこのように、ある見開きに描かれた人物による、文に記された一つの行為が、「ので」を挟んで次の見開きに描かれる人物の行為を導いているように読むことのできる構成となっている。

 『のでのでので』ではどのページにも必ず背の高い緑色の生垣が、見開きを横にまたがるように描かれていて、見開き右の偶数ページで「~した。」ないし「~なった。」と書かれている行動をおこなう少年少女は、緑色のその生垣を背に、「~」をする様子が描かれている。それとともに、直前の見開きの少年少女の何らかの行動が生垣を挟んだ奥でおこなわれている様子も確認できる。例えば図2のpp.4-5では、生垣の向こう側で、pp.2-3で生垣の上に飛び上がった少年の小さな姿が確認でき、ワンピースの少女はそれを背にして旗を揚げている。また図3のpp.6-7では直前の見開きで少女が「あげた」「はた」を横目で見る少年が「はなびに」「ひを」「つけた」様子が描かれている。図4以下、基本的にはこの連鎖が例外なくpp.24-25まで続く。

 そして、pp.26-27(図6)において初めてその連鎖に綻びが生じる。pp.26-27では、表紙を捲った直後の見開きであるpp.2-3で飛び上がった少年と同じ背丈・服装をした少年が登場する。とりあえずこの少年を絵本最初に出てきた少年と同じ少年であるものと読む。この少年は、図6の通り生垣を完全に超えない程度に飛び上がる。そしてp.27の右端上の文には、それまでの見開きで書かれていた「~ので」で終わる不完全な文の代わりに、「びっくりしたので。ので。」と句点を伴った文が記される。次のp.28は絵本の最終ページであるが、そこには生垣のみが描かれ、それまでどの見開きにも必ずいた少年少女は描かれていない。ページ左端上に「ので。」と記され、またよく見ると、生け垣の右下に小さく「Gomi TARO.」と筆記体に近いローマ字で署名がなされている。

 

pp.24-25

(図5)同pp.24-25

pp.26-27

(図6)同pp.26-27

p.28

(図7)同p.28

 前ページのp.27で「びっくりしたので。ので。」と記されているので、それ以前の慣例には従わない何かが次のp.28で起こりうることが読者にとって十分に予想されうる。そして実際にp.28には「ので。」のみが記され、「~」をするはずの少年少女も描かれていないという事態が起こる。読者はここから遡る形で、p.27の「ので」の繰り返しが、「ので」によって示されるはずの結果の少年少女の行動がもはや描かれえないということが予告されていたのだと理解するだろう。この際読者は、p.28の「ので。」という文字表記と少年少女なしの絵の提示において、これまで繰り返された「ので」による接続がもはや機能していないことを把握しうる状態に置かれていると言える。

 もっとも、これまでの見開きと比べて例外が生じているのはpp.26-27だけではなく、その直前のpp.24-25(図5)にも生じている。これまでは次の見開きで「~した。」ないし「なった。」少年少女が直前の見開きに描かれることはなかったが、pp.24-25では、次のpp.26-27で「びっくり」するはずの少年が(再)登場する。この少年は再登場という点でも例外的な存在であるが、次の見開きで何かをする前の待機状態が描かれていることは、この先の近い将来、「ので」を介した連鎖にも何か例外的な事態が生じる可能性を示唆していると言いうるだろう。そしてその示唆に導かれた先には、最終ページの「ので。」という表記と作者の署名が存在する。

 とりあえず「ので。」という表記にのみ焦点を絞って話を続ける。『のでのでので』では既述の通り、すべてのページに背高の生垣が描かれているが、その生垣は緑の太い帯のように見開きに跨って横一線に描かれる。そしてその生垣は表紙から中表紙に至るまで、見返しと遊び紙以外のすべての場所に存在している。この生垣は、ページを捲った先に、「ので」で繋がれた何らかの行動を見せる少年少女の存在を匂わせる。その連鎖についてはすでに確認したとおりだ。ページを捲るごとに、生垣を挟んだ“向こう側”で何かをおこなう少年少女の存在の描写がなされるという実績として積み重なっていくにつれ、生垣を隔てたその奥に、「ので」で接続される次なる行動の準備をしている誰かが潜んでいるという確信めいた期待を読者は抱くことになるだろう。その期待とともに、読者にとってはページ一枚一枚がそのまま生垣の奥行きとなる。この期待は生垣が途切れない限りいつまでも続くものであり、それは最終ページにおいても同様である。

 つまり(署名を除いて)「ので。」が記される以外には何もない生け垣が描かれた最終ページでは、「ので」によってこれまで予告されていた連鎖が一旦終息したことを「ので。」という句点付き表示において明示しながらも、一方で生垣の存在が相変わらずページ内で途切れなく描かれていることによって、少年少女の存在するかもしれない奥行きを見せていると言えるだろう。

 もっとも、p.28の右ページは奥付にあたる情報が記されたページとなっており、そこには生け垣は描かれていない。また、そこを捲ると遊び紙と表紙が接着されている見開きとなり、そこにも生け垣は描かれていないため、左見開きの本としては生け垣の奥行きをもはや読者に提示できない状態にあるとも言える。署名の存在もまたその奥行きの続かなさを読者に感知させることに寄与している。

 しかし、最終ページのp.28は偶数ページであり、見開きの左に位置するページであるため、左見開きの本においてはそのページの裏側にこれまで捲ったページが積み重ねられていることから、これまでに積み重ねた奥行きが、「ので。」という表記とともに読者に提示されているとも言える。句点そのものはそれが存在する位置で文の読みを強制的に終了させる効力を持つ記号であるが、「ので」自体はその前後の行為ないし状態を、因果関係を持たせる形で接続する接続助詞であるため、「ので。」という表記自体はやや例外的な記法であると言える。そしてこの例外的な表記は、これまでのページ捲りの積み重ねにおいて経験されていた「ので」による接続機能を、捲りという動作とともに読者に思い出させうる。端的に言えば、この最終ページにおいて読者の意識が、「ので」という道具立てがどのようなものか、ということに向かうような準備がなされている。

 このことだけに注目すれば、「ので」を使った「ので」遊びなるものが読者に預けられていると言いうるだろう。つまり、この絵本で提示されていたのと同様に、生け垣の向こう側に伝わる何らかの行為を考え、「ので」でつなぎ、また次の行為を考え……という連鎖を考えるという遊びはほぼ無限に生成できるだろう。

 

 

 そのような「ので。」の提示に際して、一つの“例外”として用意されたp.25の少年の出待ち状態の際立ち方は、この「ので」遊びの“遊び”に寄与する「ので」という接続助詞そのものの性質を読者に気づかせるものとしても機能する。

 この少年の例外状態は、既述の通りpp.24-25の見開き前までに登場した少年少女たち(+犬一匹)の出待ちが一度も描かれず、見開きに一回きり、「~した。」や「~なった。」と表記される述語の主語として登場するということとの対比で際立つものである。つまり、彼以外の少年少女たちからは、「~した。」ないし「~なった。」と書かれる行為ないし状態を見せているという以外の状況を読み込む理由を見出すことが難しい。翻って、pp.24-25に再登場した少年は、再登場したという事情も併せて、pp.26-27で無邪気に「びっくりした」ようには見えなくなってしまうし、「ので」の先に、pp.2-3のように「とびあがった」と書かれなくなってしまった事情が何かあるのだろうという風にも思えてしまう。その“事情”を、最終ページに記された著者の署名の存在から、その著者の絵本の制作意図に帰すことも可能ではあろうが、今回はもう少し「ので」という表記そのものにこだわってみる。

 このような“事情”の存在の読みとりが可能になるということを逆に考えれば、そもそもp.2から始まった一連の「ので」の連鎖は、文で書かれた述語の主語となりうる少年少女たちが皆一様に、無邪気にその動作をおこなっていることが前提となっていたということでもある。そしてその無邪気さは、「ので」という接続助詞において示される因果関係を、文意のままに読者に伝えるはずである。つまりこの絵本では、「とびあがった」ので「はたをあげる」こと、「はたをあげた」のでパラシュートが「シュルシュル パッと」開くこと、「シュルシュル パッと」開いたので「はなした」こと、それぞれが「ので」を介して因果関係を持つものとして読まれるべき文となって提示されている。

 そのような読みにおいてのみ成立するはずの関係自体には“遊び”がない。つまり、それ以外の関係を想起する余地はない。「ので」が結ぶ関係性に疑いが向かない限り、「ので」はそう書かれてあるべき関係を読ませる接続助詞としてのみ機能する。そうした「ので」に“遊び”が初めてもたらされるのは、少年の(再)登場の際の出待ち状態、つまりじっとしている以外に遂行するべき動作のない状態が描かれたときである。そしてこの“遊び”は、「ので」で取り結ばれた二つの動作ないし状態の因果関係そのものにも“遊び”をもたらす。つまり、少年少女は必ずしも「とびあがった」ことのみを理由として「はたをあげる」わけではなく、また「はたをあげた」ことだけが理由となってパラシュートが「シュルシュル パッと」開いたわけではなく、「シュルシュル パッと」開いたことだけを理由として「はなした」わけではない、ということになる。その“遊び”が生まれることで、たまたま実現したのかもしれないそれぞれの行為ないし状態の変化の間にわざわざ「ので」という言葉があてがわれていると読者は文を読むことになるだろう。この「ので」の、ある意味無責任なあてがいこそが『のでのでので』の見せる「ので」遊びであり、さらに敷衍して言えば、『のでのでので』に限らず、各種事象に対して「ので」をあてがうことそのものが“遊び”であってそれ以上のものではない、ということにもなりうる。

 さらに、この「ので」が本のページ捲りに連動する形であてがわれていることに照らしてページを捲るという行為を考えれば、ページを捲るという行為もまた“遊び”であってそれ以上の行為ではない。ページを捲るという行為がなぜおこなわれるのかについてあえて答えるならば、そうすることになっているから、という以上の答えが出てくることはない。

 『のでのでので』における「ので」遊びとは、本のページを“そうすることになっているから”捲るという行為を介して、「ので」という言葉の接続もまた“そうすることになっているはず”の接続でしかないことを知り、そのことを知ってなお、日常で「ので」を使い続けページを捲り続けることである。

 

[1] 今回筆者が参照し、画像引用したのは2004年の復刻版である。

[2] 『ちへいせんのみえるところ』は『のでのでので』と同じく左見開きの絵本であり、ページを捲ると、左ページの左上に「でました。」という一言だけが書かれている。見開き全体には、曇り空と平原のような場所=「ちへいせんのみえるところ」が描かれ、そこに一つだけ何かが配置されているという図が延々と続く。エイのような生物が空中に浮いているときもあれば、大きな旅客船が描かれているときもあり、少年の顔の上半分だけがぽつんと描かれているときも、大きな火山が描かれているときもある。時々何も置かれていないページがあり、そのページには「でました。」の文字も書かれていない。その並びには脈絡があるとは言えず、ページを捲る毎になにが「でる」のか(「でない」のか)だけが唯一読者に提示されている絵本であり、そうした意味で、本文で書いたように「捲ること自体に何らかの面白さを読者にもたらしうる絵本」である。

[3] 例えば、香曽我部秀幸「終章 絵本表現の可能性──新しい世紀に向けて」(鳥越信編『はじめて学ぶ日本の絵本史Ⅲ』pp.379-399所収)内の第3節「絵本における絵と詞の位置」では、「絵本は絵と詞が互いに補完し合うことによって初めて成立するという特殊な性格を持った表現である。(中略)絵のみによって成り立つ純粋美術や文章のみによって成り立つ文学とは、根本的に異なると考えなければならない。『ちへいせんのみえるところ』は、それを見事に実証した稀有な作品と言えるのである。」とされている。ナンセンス絵本はしばしば「絵本」という「特殊な性格を持った表現」を「実証」するものとして取り上げられるが、ここでもその例外ではない。私個人としては、「絵本」でないとできない「表現」が存在することをなぜ「実証」しないといけないのか理解不能でありまた理解しようとも思わないので、以降このような言説の存在を無視する。

粘り強さ

これまでも年に一度か二度ほど、他人の文章をよりよいものとするためにまとまった時間で密に色々とやり取りをするという機会があったのだけど、今年は特にそういう機会が多く、また逆に自分の書いたものについて、割と文章の位置づけそのものの考え方が異なる複数の人と密なやり取りをするという機会を持つこともできたのだけど、たぶんこういう作業を十数年以上やることによって身についたものは、根本的な部分ではほぼ一つ、粘り強さなのだろうと思った次第。

 

ある一つの話題について十年単位で書くという作業を続ける、と言語化すると、まあその途方もなさに今でも無理だと答えるが、実際に作業を始めてしまうと逆に、完成させるために必要な諸々の準備の途方もなさに参る一方で、時間についてはいくらでも欲しいとなる。

その辺のバランスを見て、ある課題(話題)について適切なテキストの分量と書けるべき時間の多寡を考えるのが編集という立場にある人のやることなのだと思うが、そうした編集者的視点において大事なのは、常に物理的な素材の制約や具体的な数値の限界に基づいた機械的調整を文章に対して施すことができるようにすることなのだろう。締め切りと文字数が文章を作るという風に言えるのであれば、作者が作者として文章を作る局面は思う以上に少ない。もっとも、作者と編集者という役割を一人の書き手が同時に担うという場合もあるが。

で、そういう複数の視点が未熟であっても持てるようになってくると、今度はいくつかの視点から見た課題を同時に満たすことのできる回答を導きだす必要のある難局が文章内に複数出てきて、その検討を重ねてゆく毎に完成が遅くなる。編集者的な視点としては締め切りと分量を守るためにはどのように話題を絞るか、作者的な視点からはその制限をとっぱらってまで粘り強く解決策を考えるための言い訳をどう作るか、そのような鬩ぎあいが書き手の内外に出てくるようになる。

これが厳密な締め切りが決まっている仕事であれば、締め切りこそが一巻の終わりなので編集者的な視点の権力が強いのだが、締め切りを書き手自身でしか設けることのできないものについては、逆に編集者的な視点はどうしても弱くなってくる。こういう書き物の場合には、編集者的な視点にもまた粘り強く作者を完成へと導いていくための胆力が必要となってくる。

編集者的な視点にしろ、作者的な視点にしろ、どこかで妥協が入ると結局そこが綻びとなって、それ以降に進んだ作業がある地点でロールバックせざるを得なくなってくるから、肝心なのは両者を妥協させないことだ。ロールバックすること自体は別に悪いことではないが、ロールバックが要請される際に、その理由の良し悪しというのはあって、多くの時間を無駄にするようなロールバックが入る原因はだいたい上記のような妥協とそれに起因する綻びなので、その時々で納得のいかないことがあるのであれば、いつでも立ち止まる準備をする必要がある。

 

しかしそうやって何年もかけて完成にこぎつけた文章が必ずしも素晴らしいものであるとは限らない。それがまた面白いのだけれども。

UM790 PROをノートPC代わりに1か月強使って思うこと

(今回のテキストはこの記事を前提としたものになります。)

 

ノートPC代わりにミニPCを持ち歩いて日常的に使うということにしてから、気づいたらもう1か月経っていた。

これを聞いた人がぱっと思いつくこととしては、持ち歩くものが多くなって面倒くさそう、という感じだと思う。その点はノートPCとの相対的な比較においては事実だと言えるけど、しかし、それ以上に良い点というのも多くあるのも事実なので、1か月使った経験のなかでメリットとデメリットを考えてみることにした。

 

ただ、基本的には1か月前に書いた記事でまとめたメリットデメリットとけっこう重なる部分もある。今回はそれをベースとして、印象の変わった点・変わらなかった点という形でまとめていこうと思う。

恐らく先にデメリットから書いたほうがこういう記事を読む人の需要に合うと思うので、デメリットから。

 

〈一か月前〉

①設置作業は当然ノートPCよりかかるし、機材が一つにまとまってないので忘れ物が出やすい

地味にカメラ+マイクがついてないのがつらい

③ノートPCよりは重いことが多い

直接バッテリーとつながっているわけではないのでケーブルが抜けてしまえば電源が落ちるリスクが常にある

電車内などでラップトップとして使うことができない(タッチパネル式のモニターであればなんとかできるが作業が限られる)

 ↓

〈現在〉

①設置作業は当然ノートPCよりかかるし、機材が一つにまとまってないので忘れ物が出やすい → 事実

地味にカメラ+マイクがついてないのがつらい → ほぼ気にならない

③ノートPCよりは重いことが多い → 人によっては気にならない

直接バッテリーとつながっているわけではないのでケーブルが抜けてしまえば電源が落ちるリスクが常にある → 最も懸念すべきデメリット。対策が急務。

電車内などでラップトップとして使うことができない → そもそもあまり必要な機能ではない

といったところだろうか。

 

については間違いない。ノートからミニPCに切り替えると、

  • ミニPC本体
  • モバイルモニター
  • モバイルバッテリー or 充電器
  • USB-Cケーブル2本
  • 無線キーボード
  • 無線マウス

が必要となる。ノートPCは(マウスを除けば)これがすべて一つにまとまっているわけで、持ち物という観点から言えば圧倒的にリーズナブル。

忘れ物に関しては、この1か月で充電器を一回、利用した飲食店に置き忘れただけだったので、案外少なかった。

 

についてはスマホを手元に持っていたので正直あまり気にならなかった。

音声でのやり取りはスマホでやり、画面共有が必要な場合にはPCから別途入って共有という形で十分だった。

スマホでできることとPCでできることをもう少しすり合わせればもう少しいろいろな場面で役に立ちそうだと思った。

 

については、個人的な環境の話になるが、リュックサックを普段から利用しているためか体感は正直あまり変わらなかった。

これは丈夫さとの引き換えの話になるが、ノートPCは軽さを求めることもできる反面、軽すぎれば故障が頻発する。軽さ重視のノートについて購入から2年以内で壊れたものを複数個体見ている点からも、壊れやすいという意見についてはある程度の蓋然性があると思う。

なので、ある程度丈夫さを求めると、結局ミニPCで必要な機材を運ぶ際の重量とあまり変わらなくなってくる。

 

については、③と逆にミニPCが壊れてしまう最も注意すべき点だと思う。

特にOSの読み込み段階で電源が切れると、OSそのものの調子が悪くなってクリーンインストールを余儀なくされる可能性があるので、突然の電源遮断がないような環境を整えたいと今考えている最中。

この観点から今、個人的に一番欲しいものは、PD3.0以上の給電口が2口あるタイプのモバイルバッテリー。これを充電器につなぎつつPCに給電という形が構築できれば、ある程度の事故は防げるはず。

これに対応しているモバイルバッテリーが意外とないので、もしあったら教えてほしいぐらいですね。

 

については滅多にそういう状況に陥ることがないので今回は割愛。

ただ、どうしてもそういう必要がある場合には修理から返ってきたノートPCを使う予定。

 

これ以外には特に思いつくデメリットは経験しなかったが、①と④のデメリットが重い

と考える人はけっこういると思う。

 

次にメリット。

〈一か月前〉

CPUその他各部の温度が低い(だいたい30度台)

上記のおかげで簡単に性能を発揮しやすい

③起動音が極めて静か。電源のLEDがついてないと電源がついてるかわからないぐらい。

筐体が丈夫なのでノートより故障しにくい(はず)

モニターもキーボードも好きなものを選べる

うまくいけばノートPCより電源の持ちの良いモバイルバッテリーを使用できる

 ↓

〈現在〉

CPUその他各部の温度が低い(だいたい30度台) → 変わらない

上記のおかげで簡単に性能を発揮しやすい → 変わらない

③起動音が極めて静か。電源のLEDがついてないと電源がついてるかわからないぐらい。 → 変わらない

筐体が丈夫なのでノートより故障しにくい(はず) → たぶんあってる

モニターもキーボードも好きなものを選べる → 否定する余地なし

うまくいけばノートPCより電源の持ちの良いモバイルバッテリーを使用できる

 → 最近40000mAhのモバイルバッテリーを購入したので8時間ぐらいは無充電で作業できる

 

こちらについてはほとんど見直す必要がないと思う。

総じて言えば、どのメリットも使用者のテンションが上がる(?)といったような感じで、⑥以外は実作業的な面よりはこの構成を使い続けることで長期的に実感できるメリットであると言えるだろう。

それだけに、使い始めのちょっとした面倒さを引き受けることができるかどうかがカギになってくると思う。

 

個人的には、筐体が直方体型なので、ノートPCの時のように筐体に無理な力がかかっていないかとか、衝撃を与えたら壊れてしまうのでは、といったようなことを気にする必要がなくなった点が、精神衛生上非常に良いと感じている。

基本的にはこれからもノートPC代わりに使っていくことになるので、また改めて気づいた点があればこちらに記そうと思います。

自作PC変遷(初自作:2020年12月~2023年11月現在)

こちらの記事は、私が自作PCを始めた2020年12月~の構成変更の記録となります。

基本的にここに記載している最新の構成がそのまま今現在の環境なので、これを残しておいて、将来的に中身を変えた際に書き継いでいこうという所存です。

自作erとしてはぺーぺーもいいところで日々勉強の身ですが、それでも考え方などの点で初めて自作PCを作る人に役に立つようであれば幸いです。

(下記、換装したパーツについては赤字で示しています。)

────────────────────────

いまや貴重な静音ケースとなったP101。

❶最初期(2020年12月初旬-2021年6月)

CPU……AMD Ryzen 9 5900X BOX

GPU……玄人志向 GALAKURO GAMING GG-RTX3060Ti-E8GB/DF

M/B……MSI MPG B550 GAMING CARBON WIFI

RAM……Crucial CT2K8G4DFS832A [DDR4 PC4-25600 8GB 2枚組]

SSD……Western Digital WD Blue SN500 NVMe WDS500G1B0C

HDD……Western Digital WD40EZRZ-RT2 [4TB SATA600 5400]

PSU……Super Flower LEADEX III GOLD 750W

COOLER……Deepcool GAMER STORM ASSASSIN III

CASE……Antec P101 Silent

FAN……なし(ケース標準搭載ファンのみ)

 

本当は2020年11月初旬に組んだのですが、その際に使ったロープロファイルの10年前ぐらいのGPUカードを紹介する必要はないと思ったので、12月初旬に3060tiを使用したところからスタートします。

今から見ても、OS用のSSDが500GBというところ以外にはほとんど手を入れる必要がないのでは……という気がするぐらいにはよいチョイスをしていると思います(自画自賛)。まあSN500は1TB売ってなかったので仕方ないですが。

この後2021年1月の年始セールでSandisk製のSN550代替品を増設し、さらに4月にサムソンの870evoの2TBを追加購入した時点でゲーム用のストレージも満足に揃う、ほぼ完ぺきな布陣だと自負しておりました。

6月まではPCの中身というよりは、モニターや椅子などを揃えていたこともあって、あまり手がついていません。

 

❷メイン機マザボの故障とサブ機の出現(2021年7月-9月)

この頃からすでにグラボ下にファンを搭載してチップセットの温度に配慮していた。

〔メイン〕

CPU……AMD Ryzen 9 5900X BOX

GPU……玄人志向 GALAKURO GAMING GG-RTX3060Ti-E8GB/DF

M/B……MSI MEG X570 UNIFY

RAM……CFD W4U3200PS-16G [DDR4 PC4-25600 16GB 2枚組]

SSD……Western Digital WD Blue SN500 NVMe WDS500G1B0C|Sandisk Ultra M.2 1TB|サムスン 870 EVO MZ-77E2T0B/IT

HDD……Western Digital WD40EZRZ-RT2 [4TB SATA600 5400]

PSU……Super Flower LEADEX V Gold 850W

COOLER……Deepcool GAMER STORM ASSASSIN III

CASE……Define 7 Compact TG FD-C-DEF7C-04 [ホワイト/クリア]

FAN……サイズ KAZE FLEX 120 WHITE PWM 1200RPM|Deepcool GAMER STORM TF120 S WHITE|ADATA XPG VENTO PRO 120 PWM

 

〔サブ〕

CPU……AMD Ryzen 9 5600X BOX

GPU……MSI GeForce GT 1030 2GD4

M/B……MSI MPG B550 GAMING CARBON WIFI

RAM…… CFD Selection W4U3200CM-8GR

SSD……Intel SSD 760p(1TB)

PSU……Super Flower LEADEX III GOLD 750W

COOLER……Deepcool AS500

CASE……Antec P101 Silent

FAN……なし

 

夏の時期にマザーボードが故障してしまいました。それに伴って故障した機材の特定のためもあったのですが、それだけではないパーツ換装も増えてますね……。

もともと故障対策としてのサブ機構築に向けてコツコツとパーツを購入していたのですが、7月のマザボ故障を機に、検証用の新しいマザボとサブ機用のCPUを購入したところ、サブ用PC一機分のパーツがほぼ丸ごろ手元に揃いました。

メインで見れば、マザーボード、メモリ、電源、ケースが換装されたり増設されたりすることに。

加えて、空冷の冷却性能をエアフローの実験で確かめてみたいという欲が出てきたので、ケースの換装を機に、ケースファンを複数購入するに至りました。

 

❸グラボ換装とパーツ当選(2021年10月-2022年5月)

 

今から見るとだいぶ仰々しい。

〔メイン〕

CPU……AMD Ryzen 9 5900X BOX

GPU……玄人志向 GALAKURO GAMING GG-RTX3080-E10GB/TP/LHR

M/B……MSI MEG X570 UNIFY

RAM……センチュリーマイクロ CB16G-D4U3200H(16GB×2)

SSD……Seagate FireCuda 530 (1TB)Sandisk Ultra M.2 1TB|サムスン 870 EVO MZ-77E2T0B/IT

HDD……Western Digital WD40EZRZ-RT2 [4TB SATA600 5400]

PSU……SUPERFLOWER LEADEX V PLATINUM PRO 1000W

COOLER……Deepcool GAMER STORM ASSASSIN III(AS500 plus white

CASE……Define 7 Compact TG FD-C-DEF7C-04 [ホワイト/クリア]

FAN……Deepcool CF120 PLUS DP-F12-AR-CF120P-3P|サーマルライト TL-B12-W|サイズ KAZE FLEX 120 WHITE PWM 1200RPM|Deepcool GAMER STORM TF120 S WHITE

 

〔サブ機〕

変更なし

 

世はマイニング全盛時代でGPUも価格が吊り上がっていた時期ですが、たまたま販売当時の値段で販売がなされていた現場に遭遇し、GPUを換装するに至りました。

ここでゲームを4Kディスプレイで特に調整することなくプレイできるという環境が整い、RTX3080の性能をめいっぱい発揮できるようになって、ここでしばらくはもう中身をいじる必要はないな、という域に達しました。

ここから先、中身を弄るとしたら完全に趣味の領域というわけですが……というかGPU換装前後からすでに趣味の領域に入っている感じですが……。

 

❹掘り出し物の購入ととある準備のためのケース入れ替え(2022年5月-2022年9月)

初の簡易水冷。こいつが当初の目論見通りの構成に据え付けられるのはだいぶ経った後。

〔メイン〕

CPU……AMD Ryzen 9 5900X BOX

GPU……玄人志向 GALAKURO GAMING GG-RTX3080-E10GB/TP/LHR

M/B……MSI MEG X570 UNIFY

RAM……センチュリーマイクロ CB16G-D4U3200H(16GB×2)

SSD……Seagate FireCuda 530 (1TB)|Plextor M10PG 2TBサムスン 870 EVO MZ-77E2T0B/IT

HDD……Western Digital WD40EZRZ-RT2 [4TB SATA600 5400]

PSU……SUPERFLOWER LEADEX V PLATINUM PRO 1000W

COOLER……ROG STRIX LC II 360 ARGB White Edition

CASE……Corsair 5000D Airflow Tempered Glass White

FAN……サーマルライト TL-B12-W|サイズ KAZE FLEX 120 WHITE PWM 1200RPM|Deepcool FC120 WHITEAlpenfoehn Wing Boost 3 ARGB White Edition 140mm

 

ケース自体で言えばいまだにこいつが一番好きかもしれない。

〔サブ〕

CPU……AMD Ryzen 9 5600X BOX

GPU……玄人志向 GALAKURO GAMING GG-RTX3060Ti-E8GB/DF

M/B……ASUS PRIME B550M-A (WI-FI)

RAM…… CFD W4U3200PS-16G [DDR4 PC4-25600 16GB 2枚組]

ROM……Intel SSD 760p(1TB)

PSU……Super Flower LEADEX V Gold 850W

COOLER……Deepcool AS500 plus white

CASE……Thermaltake Divider 200 TG Air Snow

FAN……ARCTIC P14 PWM PST White/White

 

基本的には❸の時期で一通り満足する構成ができたのですが、ただ、メインのDefine7 Compactにしても、サブのP101 Silentにしても、夏には少しエアフローの面で苦労するだろう感じが容易に予想される状態でした。

冷却面を考え、結局ケースはCorsair5000D Airflowを選択。当時、意外にもCorsair 5000D Airflowのように側面にもファン複数搭載できるモデルというのがほとんどありませんでした。サーマルテイクのP6も同様の構成が可能だったのですが、色の好み的にもケースの密閉度的にも5000Dが個人的には上回っていたので5000Dを選択しました。

ケースを替えると同時にケースファンも増やさなければならなかったので、ついでに注目していたDeepCoolのFC120と、たまたまヤフオクで安く売りだされていた海外メーカーのAlpenfoehn製の140mm高級ファンを購入し、追加のTL-B12-Wも用意して、排気と吸気で実験したうえで、結果写真のような構成になりました。

また、ZEN4の事前リークから空冷だと冷却が厳しめだということと、私の唯一のこだわりが白色統一であったので、2022年6月現在での最新簡易水冷の白色バージョンであるROG STRIX LC II 360 ARGB White Editionがほぼ無条件に選択されました。

写真は天面配置ですが、側面配置だとGPUの廃熱とマザーボードVRM部の廃熱の影響を受けずに冷却できる感じだったので、現在では前面か側面が基本位置になってます。

  

一方、サブ機のケース替えに関しては、ケースを替えるんだったらこれかなぁと目を付けていたThermaltakeのDivider 200 TG Air Snow。完全にただの趣味ですね。

ファンは140mmの白色ファンとしては安くて高性能な、ARCTIC P14 PWM PST Whiteを側面・背面排気に使用しています。

 

❻ZEN4発売に伴うメイン機変更とRTX4090の購入(2022年10月-2023年3月)

この構成の中での一番のお気に入りは実はマザーボードだった。

〔メイン〕

CPU……AMD Ryzen9 7950X

GPU……Gainward RTX4090 PHANTOM

M/B……MSI X670E CARBON Wifi

RAM…… Kingmax DDR5-4800 16GB×2

SSD……Plextor M10PG 1TB|SK Hynix P41 2TB

PSU……Super Flower Leadex V 1000W Platinum White

COOLER……Corsair iCUE H170i ELITE CAPELLIX

CASE……Corsair 7000D Airflow Tempered Glass White

FAN……Thermalright TL-B12-W|Thermalright TL-B14B EXTREM|Alpenfoehn Wing Boost 3 ARGB White Edition 140mm|Arctic P14 PWM|Thermaltake TOUGHFAN 14 White

 

ZEN4とRTX4000番台の発売が相次ぎましたが、好奇心からいったんはハイエンドの構成で組んでみようと、CPUとGPUに関しては最上位のパーツで揃えてみようとしてこうした構成になりました。

きっかけとしては、DOS/VのプレゼントキャンペーンでCorsair iCUE H170i ELITE CAPELLIXに当選したというところからです。420mmラジエーターを搭載できるケースが限られていたことと、その冷却性能に見合うパーツをそろえてみようという感じで、素直に最新世代の構成が決まった感じです。

最初はこの世代を見送るか少し様子見という態度だったのですが、パーツ当選すると出費が増えるという話は本当でした……。

構成として少々特殊な点は、ラジエーターを140mmファンでサンドイッチしている点です。写真では見えませんが、フロントパネル側にThermalright TL-B14B EXTREMを3枚並べています。

 

〔メイン2〕

CPU……AMD Ryzen 9 5900X

GPU……玄人志向 GALAKURO GAMING GG-RTX3080-E10GB/TP/LHR

M/B……MSI MEG X570 UNIFY

RAM……センチュリーマイクロ CB16G-D4U3200H(16GB×2)+ CE16GX2-D4U3600/4000(16GB×2)

SSD……Seagate FireCuda 530 (1TB)|Plextor M10PG 2TB|サムスン 870 EVO MZ-77E2T0B/IT

HDD……Western Digital WD40EZRZ-RT2 [4TB SATA600 5400]

PSU……Super Flower LEADEX V Gold 850W

COOLER……ROG STRIX LC II 360 ARGB White Edition

CASE……Corsair 5000D Airflow Tempered Glass White

FAN……サーマルライト TL-B12-W|サイズ KAZE FLEX 120 WHITE PWM 1200RPM|Deepcool FC120 WHITE|Arctic P14 PWM

 

こちらはメモリを増設した(CE16GX2-D4U3600/4000(16GB×2))のと、最新機に電源を移し替えて元の電源に戻したという以外には特に変わっていません。この構成での使い勝手が良すぎたので、特に中身のパーツの入れ替えをせずにずっとこれで運用してました。

 

〔サブ〕

変更なし

 

❼7950X3Dと初めての個人輸入(2023年4月-9月)

今のモニター(4K144Hz)的に、ゲーム的にはこれ以上の強さは必要ないのでしばらく入れ替えはない……はず。

〔メイン〕

CPU……AMD Ryzen9 7950X3D

GPU……GeForce RTX4090 AERO OC 24G(GV-N4090AERO OC-24GD)

M/B……ASUS ROG STRIX B650-A GAMING WIFI

RAM…… TEAM T-FORCE DELTA RGB 32GB (16GBx2) DDR5 6000MHz CL38 1.25V White × 2(計64GB)

SSD……SK Hynix P41 1TB、2TB

PSU……Super Flower Leadex V 1000W Platinum White

COOLER……ROG STRIX LC II 360 ARGB White Edition

CASE……Corsair 5000D Airflow Tempered Glass White

FAN……Thermalright TL-B12W|Thermalright TL-B14W EXTREM|Alpenfoehn Wing Boost 3 ARGB White Edition 140mm

 

当初は購入予定になかった7950X3Dですが、片側だけ3DVCacheを搭載と、とても面白い構成であるという話が出てきたので購入しない手はないと思い、ついでに新たにマザーボードを用意して完全に白染め構成の実現へと着手しました。

GPUに関しては白モデルがいくつか出ていましたが、もっとも見た目が好みであったGIGABYTE RTX4090 AEROを購入しました。ただしこちらのモデルに関しては日本では発売されていなかったため(2023年4月現在)、Neweggから初めて個人輸入をするに至りました。

完全な白染め構成を実際に完成させると、自分が思っていたより3倍ほどは満足度が高かったです。何かにこだわってパーツをそろえて完成させるという一連の作業が自作PCの一つの醍醐味でもあると思いますので、これからもコスパだけではなくいろいろな楽しみ方を見出していきたいなと思いました。

こちらは主に普段使い+ゴリゴリの重いゲーム向け。

グラボが白くなればこっちはこっちで白PCになりそうなので若干悩み気味。

〔メイン2〕

CPU……AMD Ryzen 9 5900X

GPU……玄人志向 GALAKURO GAMING GG-RTX3080-E10GB/TP/LHR

M/B……MSI MEG X570 UNIFY

RAM……センチュリーマイクロ CB16G-D4U3200H(16GB×2)+ CE16GX2-D4U3600/4000(16GB×2)

ROM……Seagate FireCuda 530 (1TB)|Plextor M10PG 2TB|サムスン 870 EVO MZ-77E2T0B/IT|Western Digital WD40EZRZ-RT2 [4TB SATA600 5400]

PSU……Super Flower LEADEX V Gold 850W

COOLER……Deepcool AK500 WH(ファンをTL-B12W×2に換装)

CASE……Define 7 Compact TG FD-C-DEF7C-04 [ホワイト/クリア]

FAN……サーマルライト TL-B12W|サイズ KAZE FLEX 120 WHITE PWM 1200RPM|NZXT F140P White

 

7950X3D機用にCorsair 5000Dを使い、それに合わせて5900X用の中身を元のDefine 7 Compactに入れ替えました。

またそれに合わせて、CPUクーラーを簡易水冷から空冷にしました。今手元にあるアサシンⅢでもよかったのですが、入れ替えたメモリの高さ的に少し不安があったので、同じDeepcool製のAS500のファン換装バージョンを使用しました。

相変わらず安定して動いてくれています。

こっちでは主に事務処理的な作業や、軽い動画編集などをおこなう感じです。

 

3060ti自体はだいぶお気に入りだけど、フルタワーに入れるには若干小さい。けどマザーボード横幅にぴったり収まる点はいいよね。

〔勉強用〕

CPU……AMD Ryzen9 7950X

GPU……玄人志向 GALAKURO GAMING GG-RTX3060Ti-E8GB/DF

M/B……MSI X670E CARBON Wifi

RAM…… TEAM T-FORCE DELTA RGB 32GB (16GBx2) DDR5 6400MHz CL40 1.25V 

SSD……Plextor M10PG 1TB

PSU……Super Flower Leadex V 1000W Gold White

COOLER……Corsair iCUE H170i ELITE CAPELLIX

CASE……Corsair 7000D Airflow Tempered Glass White

FAN……Thermalright TL-B12W|Thermalright TL-B14B EXTREM|Arctic P14 PWM|Thermaltake TOUGHFAN 14 White

 

旧構成ではGainwardのRTX4090を積んでいましたが、こちらはドナドナとなりました。さすがに4090を二機持っていても使い切ることができないので、条件を厳しめに設定して、大事に使っていただける方に適正価格にてお譲りしました。

この構成は、もともと光物が天面のファンとGPUだけだったので、机下で撮影するとかなり暗くなりますね。。

また、写真撮影が構成入れ替えの過渡期だったため電源がPlatinumバージョンになっていますが、今はGoldバージョンです。

こいつに関しては簡単なプログラミング等、いろいろなお勉強用に使っています。

電源は価格上がる前の値段になってたので思わず購入したやつで、メモリーはDDR5-6400が11000円を切るとかいう破格の値段だったので救出(?)した次第。

 

〔ごろ寝用PC〕

CPU……AMD Ryzen 9 5600X

GPU……GTX1660Super バルク品

M/B……ASUS PRIME B550M-A (WI-FI)

RAM…… CFD W4U3200PS-16G [DDR4 PC4-25600 16GB 2枚組]

ROM……Intel SSD 760p(1TB)

PSU……Super Flower LEADEX III GOLD 750W

COOLER……Deepcool AS500 plus white

CASE……Thermaltake Divider 200 TG Air Snow

FAN……NZXT F140P White

 

GPUの入れ替えの関係上、今はGTX1660superを使用していますが、まあサブ使いなので特にグラフィックに関してはこだわっていません。

ノートPCに関してこれぐらいのスペックがあれば不満がないのになぁ、という風に思いながら使っています。

こちらは主にベッドでの作業用です。

 

❼RTX3080→RTX4070Tiへの換装と冷却装置の変更(2023年9月~現在)

〔メイン(7950X3D+RTX4090)〕

変わらず。

あえて言えば、グラボ下のチップセット冷却用の120mmファン×2をKAZE FLEXから、ドスパラ専売のDeepCool120mmファン(DEEPCOOL FK120 PASTEL BLUE)に換装した程度。

そろそろ年末なので分解して掃除するついでに、DeepCoolから発売されているグリスガードを2枚重ねで運用できるかどうかなどを試してみたいなぁと。

 

端正で好みな構成

〔メイン2(5900X+3060Ti)〕

CPU……AMD Ryzen 9 5900X

GPU……玄人志向 GALAKURO GAMING GG-RTX3060Ti-E8GB/DF

M/B……MSI MEG X570 UNIFY

RAM……センチュリーマイクロ CB16G-D4U3200H(16GB×2)+ CE16GX2-D4U3600/4000(16GB×2)

ROM……Seagate FireCuda 530 (1TB)|サムスン 870 EVO MZ-77E2T0B/IT|Western Digital WD40EZRZ-RT2 [4TB SATA600 5400]

PSU……Super Flower LEADEX V Gold 850W

COOLER……THERMALRIGHT U120EX REV.4 WHITE

CASE……Define 7 Compact TG FD-C-DEF7C-04 [ホワイト/クリア]

FAN……サーマルライト TL-B12W|NZXT F140P|WhiteDeepcool FC120 WHITE

 

購入して2年経ったRTX3080を中古市場に流して、勉強用のパソコンに着けていた3060Tiをこちらに移管した。

もともとパソコンの性能に鑑みて一部機能を勉強用のパソコンに移すことを考えていたのだが、それに応じた措置。

基本構成が初自作をした当初のものに戻ったので初心に戻ったような気分ですが、一方でその他のパーツに関しては結構変わっているところに初自作から3年経ったという時間を感じさせるところでもあります。

当初から最も変わったのは冷却に対する意識で、ケースファンは基本的にはすべてサーマルライトTL-B12Wに換装している。また当初に比べて140mmファンの選択肢が増えたので、いまはトップにNZXTF140P-Whiteを装着してエアフローを強化している。また、メモリもいつの間にか64GBに増設されていて、高負荷作業も含めてたいていの作業に耐えられる仕様になっている。

いまでもゲーム含めてバランスのいい仕上がりになっている点が気に入っています。

ちなみにしれっとCPUクーラーが変更されているが、このサーマルライトの空冷ファンのほうがAK500の追加ファン仕様よりもかなり冷えている(常用で-3度、高負荷時で最大-6度)ので、取り付けの簡単さも含めて地味におすすめの一品です。

 

真っ白構成PCその2となった

〔勉強+軽い編集作業用(7950X+RTX4070Ti)〕

CPU……AMD Ryzen9 7950X

GPU……PNY RTX4070Ti 12GB VERTO LED 3FAN White Edition

M/B……ASUS ROG STRIX X670E-A GAMING WIFI 

RAM…… TEAM T-FORCE DELTA RGB 64GB (32GBx2) DDR5 6000MHz C38 1.25V 

SSD……Plextor M10PG 1TB

PSU……Super Flower Leadex V 1000W Gold White

COOLER……Corsair iCUE H170i ELITE CAPELLIX

CASE……Corsair 7000D Airflow Tempered Glass White

FAN……Thermalright TL-B12W|Thermalright TL-B14B EXTREM|Thermalright TL-B14W EXTREM|Arctic P14 PWM|Thermaltake TOUGHFAN 14 White|サイズ KAZE FLEX 120 WHITE PWM 1200RPM

 

ここ数か月で最も手を入れたのがこちらのPC。

上述の通りGPU4070Tiに換装して、作業用としてまったく不自由のない構成にした。

3080でもたいていの場合事足りる性能ではあったが、VRAMが10GBと若干の不安があったので、恐らく最安値だろうと思われる地点で購入して3080と入れ替えた。

面白かったのが、玄人志向の3080の筐体と縦横奥行きのサイズがほぼほぼ同じ大きさだった点。ただ、構成としては、ヒートシンクの分厚さはPNYの4070Tiに分がある一方で、ファンの性能的には玄人志向の3連ファンが圧倒的に上回っている

3080用に着けていたGPU下のファンを併せてこちらに持ってきた結果、ほとんどGPUファンが回ることがなくなったので、ヒートシンク自体の性能は良いと思われるが、ファンが薄くて送風機能があまり優れていない点は気になった。

その他、マザーボードASUSの白色仕様に換装して、自分が7950Xを購入しようと決めた当初の構成になった。MSIのCARBON Wifiに不満があったわけではなく、むしろハード的にはCARBON Wifiのほうが優れている部分も多くあるのだけど、その分こちらを次世代への換装用にとっておこうという気になった。

結果的にメインと併せて白色PCが2台できたことになるが、こちらの構成のほうが光物が控えめなので、個人的にはこっちが最終形態だと思っている。

 

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実はこれ以外にも一台、Linuxのお勉強用に一台組んでいるのですが、面倒になったのでいったん終わり。稼働が可能な状態にあるPCが5台は多すぎなので、さすがに少し減らそうかと画策中です。